誤嚥予防 〜いつまでも「おいしく食べる」喜びを支えるために〜

「最近、食事中によくむせるようになった」「食後に少し声がかすれる気がする」といった、ご自身やご家族のささいな変化に不安を感じてはいませんか。私たちは、単にお口の中の状態を診るだけでなく、患者様が毎日をどのように過ごし、どんなお食事を楽しみ、どんな瞬間に幸せを感じていらっしゃるのかという「人生の彩り」を何よりも大切に考えています。

「食べる」「話す」「笑う」といった当たり前の営みは、人生を豊かにする宝物です。しかし、年齢を重ねるごとに「誤嚥(ごえん)」というお口のトラブルが忍び寄ることがあります。誤嚥とは、本来であれば食道を通って胃へ運ばれるべき食べ物や水分、あるいは唾液などが、誤って気管に入り込んでしまう現象を指します。

身体が発する小さなサインに耳を傾ける

誤嚥の主な原因は、飲み込む力、つまり「嚥下機能」の低下にあります。私たちは普段、無意識にゴクンと飲み込んでいますが、この動作には非常に多くの筋肉と神経が複雑に関わり合っています。加齢とともにこれらの連携が少しずつスムーズにいかなくなると、食べ物が気管に入りやすくなってしまうのです。

日々の生活の中で、食事の量が以前より減ったり、お口の中に食べ物が長く残っていたり、あるいは原因不明の発熱を繰り返したりすることはありませんか。これらは身体が一生懸命に発している「飲み込みのSOS」かもしれません。特に夜間の就寝中に、自覚がないまま唾液などが肺に入ってしまう「不顕性誤嚥」は、気づかないうちに肺にダメージを与え、重篤な誤嚥性肺炎を引き起こすきっかけにもなります。

きくち歯科クリニックが大切にしている「対話」と「ケア」

私たちは、治療という行為そのもの以上に、患者様のこれからの生活がどうすればもっと健やかで楽しいものになるかをイメージしながら、日々お一人おひとりと向き合っています。「最近、お友達とのランチでむせてしまって恥ずかしかった」といった、一見治療には関係のないようなお話も、ぜひ遠慮なさらずに私たちスタッフや歯科医師に聞かせてください。そうした何気ない会話の中にこそ、誤嚥を防ぐための大切なヒントが隠されているからです。

歯科医院でできる誤嚥予防は、決してお口のお掃除だけではありません。歯科衛生士によるプロフェッショナルなクリーニングでお口の中の細菌を減らすことは、万が一誤嚥してしまった際も肺炎のリスクを抑えることにつながります。さらに、私たちが20年続けている食育演劇「ハハハの話」でお伝えしているように、噛む力や飲み込む力を維持するためのトレーニングも非常に重要です。「パ・タ・カ・ラ」とはっきり発音する体操や、唾液を出しやすくするマッサージなどを、日々の楽しい習慣にできるよう、患者様のペースに合わせて丁寧にサポートいたします。

ご自宅で育む、健康な毎日の習慣

誤嚥を防ぐためには、日々の「姿勢」や「食べ方」も大きな鍵を握ります。椅子に深く腰掛け、足をしっかりと床につけ、少し顎を引いた姿勢で食事を摂るだけで、飲み込みやすさは劇的に変わります。また、テレビを見ながらの「ながら食べ」をお休みして、一口ごとに箸を置き、ゆっくりとよく噛んで味わうことは、唾液の分泌を促し、お口の自浄作用を高めてくれます。

もしご自身でケアをすることが難しい場合でも、ご家族や私たちのような専門家による見守りやサポートがあれば、お口の健康は十分に守ることができます。きくち歯科クリニックでは、通院が困難な方への訪問診療も行っております。ふじみ野の皆さんが、人生の最後まで安心して楽しくお食事を囲み、心からの笑顔で「ハハハ」と笑い合える毎日を過ごせるよう、私たちはご家族のような温かさをもって、全力でお手伝いをさせていただきます。どんな些細な不安も、どうぞお気軽にご相談くださいね。

院長 菊地 伸仁 (きくち のぶひと)

経歴

  • 昭和大学歯学部卒
  • ふじみ野市花の木中学校医
  • 子どものその園医
  • 子どものそのベビー園医
  • 子どものその苗間園医
  • ふじみ野市介護認定審査会審査員
  • ふじみ野市介護保険運営審議会委員
  • 歯科医師臨床指導歯科医
  • マウスガード認定指導医
  • 日本歯科医師会所属
  • 日本スポーツ歯科医学会所属
  • 前ふじみ野市歯科医師会会長
  • 現在に至る