【歯科検診レポート】お子さまの「唇のカサカサ」は、要注意?
ふじみ野きくち歯科クリニックです。
先日、当院の俊介先生が学校歯科医を務めている小学校へ歯科検診に伺いました。 元気いっぱいの子どもたちの歯を丁寧にチェックしていく中で、俊介先生がある「共通点」に気づきました。
それは「唇がカサカサに乾燥している子がとても多い」ということです。
「春先だから乾燥しているだけかな?」と思われるかもしれません。しかし、実はこの「唇の乾燥」には、お子さまの将来の歯並びや全身の健康を左右する、意外なリスクが隠れている可能性があると感じました。
1. 唇の乾燥が教えてくれる「口呼吸」のサイン
唇が常にカサカサしているお子さまの多くは、無意識のうちに口で息をする「口呼吸(くちこきゅう)」になっています。
本来、お口は「食べる場所」であり、呼吸は「鼻」でするのが理想です。しかし、この時期は花粉症による鼻炎などで鼻が詰まりやすく、ついつい口呼吸が癖になってしまう子が少なくありません。口で息をすると、お口の中は常に砂漠のように乾燥してしまいます。
口呼吸が引き起こす「負の連鎖」
お口が乾くと、本来お口を掃除してくれるはずの「唾液」が蒸発してしまいます。その結果、以下のようなリスクがドミノ倒しのように押し寄せてきます。
- 虫歯・歯肉炎リスクの増大: 唾液の自浄作用が効かなくなり、プラーク(歯垢)がベタベタと歯にこびりつきやすくなります。
- お口周りの筋肉の緩み: 口を常に開けているため、口を閉じる筋肉(口輪筋)が弱まり、お顔の表情がぼんやりしてしまうこともあります。
2. 「唇の乾燥」から「歯並び」への影響
俊介先生が検診で特に注目したのは、唇が乾燥している子の多くに、前歯が噛み合わない「オープンバイト(開咬)」や歯列不正の傾向が見られたことです。
なぜ口呼吸が歯並びに関係するのでしょうか? それは、お口周りの筋肉のバランスが崩れるからです。
口が開いていると、本来は上顎の天井についているべき「舌」が下に落ちてしまいます(低位舌)。すると、外側から歯を抑える筋肉の力が弱まり、内側から舌が前歯を押し出す形になってしまうのです。この「筋肉のアンバランス」が、将来の歯並びをガタガタにする大きな原因となります。
3. きくち歯科が大切にする「MFT(口腔筋機能療法)」の視点
私たちは、検診で「唇がカサカサしているな」と感じるお子さまを見つけると、それはMFT(口腔筋機能療法)というトレーニングが必要なサインかもしれないと感じました。
MFTとは、お口周りの筋肉を正しく整える「お口の筋トレ」のこと。 単に歯並びを治すだけでなく、根本的な原因である「口呼吸」を改善し、正しい筋肉の使い方を身につけることで、お子さまが本来持っている健やかな成長をサポートします。
4. 「ハハハの話」で伝えたい「自分を大切にする」ということ
私たちきくち歯科クリニックが20年以上続けている食育演劇「ハハハの話」。 劇の中では、動物たちが力強く食べ、大きな声で笑う姿を描いています。私たちがこの活動を通じて伝えたいのは、お口は「命の入り口」であるということです。
鼻で呼吸をし、しっかり噛んで、楽しくお喋りをする。 こうした当たり前の機能が正しく育つことが、お子さまの人生を豊かなものにします。「唇の乾燥」という小さなサインを見逃さず、今のうちにアプローチしてあげることが、一生モノの財産になります。
5. 何もなくても、遊びに来てください
「虫歯がないのに歯医者に行くのは……」 そう思われる親御さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、今回俊介先生が感じたような「お口の機能の小さな変化」は、痛みがない時にしか見つけられないものです。
何もなくても定期的に通うことは、お子さまが歯医者さんに慣れ、私たちスタッフと仲良くなるための大切なステップです。 「今日は唇の保湿の仕方を覚えようね」「お口の体操をしてみよう!」 そんな楽しいコミュニケーションの積み重ねが、お子さまの恐怖心を取り除き、いざという時に自分のお口を大切にできる心を作ります。
「うちの子、よく口が開いているかも?」「唇がいつも荒れているな」 そう気づかれたら、ぜひお気軽にご相談ください。 ふじみ野の子どもたちが、いつまでも潤いのあるお口で、心から「ハハハ」と笑い合えるように。私たちは全力でサポートさせていただきます!
監修者情報

経歴
- 昭和大学歯学部卒
- ふじみ野市駒西小学校医
- 子どものその園医
- 子どものそのベビー園医
- 子どものその苗間園医
- ふじみ野市介護認定審査会審査員
- ふじみ野市介護保険運営審議会委員
- 歯科医師臨床指導歯科医
- マウスガード認定指導医
- 日本歯科医師会所属
- 日本スポーツ歯科医学会所属
- 前ふじみ野市歯科医師会会長
- 現在に至る