お知らせ

ふじみ野の歯医者さん、きくち歯科クリニックです。

ここ数年注目されている「歯と全身の健康」に関する記事をヤフーニュースから見つけました。
(現在は記事が削除されておりますので、当ページからも削除いたしました)
このWEBコラムは2023年9月4日に掲載したものを更新したものです。

歯周病が、心臓病や脳卒中、糖尿病などを引き起こす原因の1つとなりうる、ということはかなり周知されてきていると思いますが、まだまだ定着しているとは言えないと思います。
歯科と全身の健康がどのように関係しているのかをもう少し詳しくお伝えします。

歯科と全身の健康について

私たちの口の中は、単なる「食べ物を噛むための器官」ではありません。実は、歯や歯ぐき、舌、唾液など口腔内の状態は全身の健康と密接に関わっています。歯科の病気を放置すると、単に歯を失うだけでなく、心臓病や糖尿病、肺炎、さらには認知症など命に関わる全身疾患のリスクを高めることが近年の研究で明らかになっています。

歯周病と全身疾患の関係

歯科と全身の健康を語るうえで、最も注目されているのが「歯周病」です。歯周病は歯と歯ぐきの間に細菌が入り込み、炎症を起こして歯を支える骨を溶かしてしまう病気です。日本人が歯を失う原因の第一位であり、40歳以上の約8割が罹患しているといわれています。

歯周病の怖い点は、単に歯が抜けてしまうだけでなく、歯ぐきの炎症によって血管内に細菌や炎症物質が入り込み、全身へと悪影響を及ぼすことです。

  • 糖尿病との関係
  • 歯周病があると炎症物質が血中に放出され、インスリンの働きを阻害します。その結果、血糖値が下がりにくくなり、糖尿病が悪化しやすくなります。逆に、糖尿病の人は免疫力が低下しやすいため歯周病が進行しやすく、「双方向の関係」があることが分かっています。

  • 心臓病・動脈硬化との関係
  • 歯周病菌が血管に侵入すると、血管内にプラーク(粥状の塊)を作りやすくし、動脈硬化や心筋梗塞、狭心症のリスクを高めます。近年は、心臓の人工弁手術を控えている患者に対し、口腔内の感染を事前に治療することが必須とされるケースもあります。

  • 脳梗塞との関係
  • 歯周病菌が作り出す毒素は血管を傷つけ、脳の血管にも悪影響を及ぼします。血栓ができやすくなり、脳梗塞のリスクが上昇するといわれています。

  • 誤嚥性肺炎との関係
  • 高齢者に多い誤嚥性肺炎は、口の中の細菌が唾液や食べ物と一緒に気管へ流れ込むことで起こります。歯周病菌や虫歯菌が肺に入ると肺炎を引き起こし、命を脅かす原因になるのです。

口腔環境と生活の質(QOL)

口の健康は、生活の質(QOL:Quality of Life)にも直結します。歯を失うと噛む力が低下し、食事の内容が偏りやすくなります。硬いものが食べられないため、野菜や肉類を避け、炭水化物や柔らかい食品に偏ってしまうケースも少なくありません。その結果、栄養不足や肥満を引き起こし、さらなる病気のリスクにつながります。

さらに、歯の見た目や口臭は人間関係や社会生活にも大きな影響を与えます。口腔の問題があることで、人と話すのを避けたり、自信を失ったりする人も少なくありません。

妊娠と口腔の健康

歯科と全身の関わりは、妊娠中にも重要です。妊娠中はホルモンバランスの影響で歯ぐきが腫れやすく、妊娠性歯肉炎になりやすいといわれています。また、歯周病にかかっている妊婦は、早産や低体重児出産のリスクが高まることが分かっています。妊娠を希望する方や妊婦さんは、早めに歯科検診を受けて口腔環境を整えることが大切です。

認知症との関連

近年注目されているのが、歯の喪失と認知症の関連です。噛むことは脳の血流を促進し、記憶や学習をつかさどる海馬の働きを活性化するといわれています。歯を失い噛む機能が低下すると脳への刺激が減少し、認知症発症リスクが高まるという研究報告もあります。また、歯周病菌が脳に到達し、アルツハイマー型認知症に関わっている可能性も指摘されています。

歯科医院でできる予防とメインテナンス

歯科と全身の健康を守るためには、定期的な歯科医院での検診とメンテナンスが欠かせません。

  • 歯周病予防
  • プロによる歯石除去、歯周ポケットのチェック、ブラッシング指導により、炎症を早期に食い止めることができます。

  • 虫歯予防
  • フッ素塗布やシーラントによる予防処置に加え、食生活の指導も受けられます。

自宅でできる予防歯科

  • 歯磨きは1日2回以上、フロスや歯間ブラシを併用する
  • 禁煙する(喫煙は歯周病を悪化させる大きな要因)
  • 糖分の多い飲食を控える
  • よく噛んで食べる習慣をつける

ご自宅での歯磨きでは完全にプラークを除去しきれません。
残りのプラークを取り除くために、お近くの歯医者さんをご利用いただくのが良いと思います。
「歯を悪くする前に」歯医者さんに行く、ということがポイントです。

「歯の健康」と「全身の健康」は切り離して考えることができません。歯周病や虫歯などの口腔疾患は、心臓病、糖尿病、肺炎、認知症など重大な全身疾患と深く関わっていることが明らかになっています。定期的な歯科受診と日々のセルフケアを通じて口腔環境を整えることは、全身の健康寿命を延ばすことにもつながります。

歯科は「歯を治す場所」ではなく、「全身の健康を守る入り口」です。ぜひ歯科医院を積極的に活用し、口から健康を守り、充実した人生を送っていただきたいと思います。

怖がらず、ぜひ定期的にお越しくださいね♪

きくち歯科クリニック