朝起きると口の中がネバネバする…その原因と対策

「朝起きた瞬間、口の中がネバついて不快感がある」「口臭が気になって、家族と話す前にすぐうがいをしたくなる」……そんな経験はありませんか?

実は、起床時の口のネバつきは、多くの方が抱える悩みの一つです。しかし、単なる「寝起きだから仕方ないもの」と放置してしまうのは禁物。そのネバつきの正体は、口内で爆発的に増殖した「細菌」であり、放置すると虫歯や歯周病、さらには全身の健康を脅かすリスクにもつながるからです。

1. ネバつきの正体は「細菌の増殖」

私たちの口の中には、健康な状態でも数百種類、数千億個もの細菌が住んでいます。 これを例えるなら、口の中は「常に水が流れている公園の噴水」のようなものです。日中は「唾液」という水が常に流れ、汚れや細菌を洗い流して清潔に保っています(これを自浄作用と呼びます)。

しかし、眠っている間は、この噴水の水(唾液)がピタッと止まってしまいます。水が止まった池が、夏の暑さですぐに濁ってヌルヌルしてくるのを想像してみてください。それと同じことが、寝ている間のあなたのお口の中で起きているのです。洗い流されないまま放置された細菌が、仲間を増やして作り出した「ヌメリ」こそが、あの不快な「ネバつき」の正体です。

2. なぜ朝にネバつきがひどくなるのか?主な4つの原因

① 睡眠中の唾液分泌の減少

最も大きな原因は、生理現象としての唾液不足です。唾液には「殺菌」「洗浄」という天然のクリーニング効果がありますが、睡眠中はこれらのガードが手薄になります。

② 「口呼吸」による乾燥

本来、人間は鼻で息をするのが正常です。しかし、鼻詰まりや筋力低下で「口呼吸」になると、口内は「蓋を開けっぱなしにしたお重」のように、あっという間に乾燥してしまいます。乾いた場所では細菌が濃縮され、より強力な粘り気を持って歯や粘膜にこびりつきます。

③ 歯周病の進行

歯周病菌は、酸素を嫌う「嫌気性細菌」です。寝ている間の酸素が少ない口内は、彼らにとって最高のパーティー会場。歯ぐきの溝(歯周ポケット)が深いと、そこを拠点に細菌が爆発的に増え、ネバつきを助長します。

④ ストレスや生活習慣の乱れ

自律神経は唾液の質をコントロールしています。リラックスしている時は「サラサラの水」のような唾液が出ますが、ストレスを感じると、ネバネバした「濃い液体」に変わります。寝る前のスマホや飲酒は、お口の中を「排水溝が詰まりかけた流し台」のような状態にしてしまうのです。

3. 今日からできる!ネバつき解消4つの対策

朝の不快感をなくすためには、「寝る前の準備」と「睡眠環境の改善」が鍵となります。

対策1:就寝前の「お口の中と歯の大掃除」

寝る前の歯磨きは、一日の中で最も重要です。

  • フロスは「お掃除の仕上げ」: 歯ブラシだけで磨くのは、ほうきで床を掃いただけの状態。歯と歯の間の汚れは、雑巾がけ(フロス)をしないと落ちません。
  • マウスウォッシュの活用: 仕上げに殺菌効果のあるマウスウォッシュを使うと、寝ている間の細菌の増殖を抑える「バリア」を張ることができます。

対策2:口呼吸を防ぎ、お口の中を「加湿」する

お口の乾燥は最大の敵です。

  • 口閉じテープの使用: 市販のテープを唇に貼って寝るだけで、自然と鼻呼吸へ導かれます。
  • 寝室の加湿: 湿度を50〜60%に保つことは、お口だけでなく風邪予防にも効果的です。

対策3:舌を清潔に保つ(舌磨き)

ネバつきの多くは、舌の表面に付着した白い汚れ「舌苔(ぜったい)」に由来します。

  • 舌を専用のクリーナーで優しく掃除しましょう。ただし、やりすぎは禁物。1日1回、優しくなでるだけで十分です。

4. 唾液腺マッサージ

耳の下や顎の下を優しくマッサージすることで、唾液の「蛇口」をひねりやすくしてあげましょう。夕食後やリラックスタイムに行うのが効果的です。

4. プロのケアが必要なサインかも?

セルフケアを頑張ってもネバつきが改善しない場合、自分では落としきれない「細菌のバリア(バイオフィルム)」がこびりついている可能性があります。これは例えるなら「キッチンの頑固な油汚れ」のようなもの。家庭用の洗剤(市販の歯磨き粉)ではなかなか落ちません。

ふじみ野にお住いの方も、近隣の歯科医院で「プロによる大掃除(PMTC)」を受けているでしょうか?特に矯正治療中や、20代〜30代の方は、お口の変化に気づきにくい時期です。一度徹底的にクリーニングしてもらうだけで、翌朝の口内の感覚が見違えるほど変わることも珍しくありません。

皆さんに爽やかな朝を迎えていただくために

寝起きのお口の中のネバつきは、体が発信している「お口のSOS」かもしれません。まずは今夜の歯磨きにフロスをプラスすることから始めてみてください。

「朝起きてすぐ、水がおいしい」と思えるような清潔な口内環境は、質の高い睡眠と健康な毎日への第一歩です。どうしてもネバつきが気になる時は、歯科医師から診断してもらうことをお勧めします。

院長 菊地 伸仁 (きくち のぶひと)

経歴

  • 昭和大学歯学部卒
  • ふじみ野市花の木中学校医
  • 子どものその園医
  • 子どものそのベビー園医
  • 子どものその苗間園医
  • ふじみ野市介護認定審査会審査員
  • ふじみ野市介護保険運営審議会委員
  • 歯科医師臨床指導歯科医
  • マウスガード認定指導医
  • 日本歯科医師会所属
  • 日本スポーツ歯科医学会所属
  • 前ふじみ野市歯科医師会会長
  • 現在に至る